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シンガポール遠征通信②

こんにちは。

男子短距離コーチの田村です。


シンガポール遠征通信②になります。①から少し時間が空いてしまいましたが現地での様子をこちらからもお伝えできればと思います。

前回が競技会初日となり、あれからさらに2日間競技が行われ、遠征に参加したほとんどの学生が複数種目に出場しました。たくさんの応援をありがとうございました。

トレーニングの一環としての競技会出場でしたので「出られる種目はなるべく出る」というスタンスで監督とも相談をし、現地で特別レースなども作って頂き、多くの学生が現地選手としのぎを削りました。専門外の種目にも果敢にチャレンジし、記録以上にその収穫は大きかったのではないかと感じます。


また、競技会への参加を通して多くの交流が持てたことが学生にとっての財産であると思います。競技後に同じレースを走った選手と会話をし、写真を撮ったり、連絡先を交換したり、現地でトレーニングを一緒にする約束を取り付けたり。他にも、ウォーミングアップ中に海外選手から調子を聞かれたり、現地のコーチからアドバイスをもらったりと、とにかく多くの交流が生まれていました。


陸上やスポーツに限らず、海外の方はコミュニケーションをとることに恐れを感じません。むしろ「せっかくのチャンスなんだから色々聞きたい!」というスタンスで接してくれます。この姿勢に学生も最初は圧倒されてしまいます。「すごいグイグイ来るんですけど」、「色々なことをたくさん聞かれました」と最初は少し困惑交じりの表情で報告に来ます。これは昨夏、シンガポールチームが所沢に遠征に来てくれた時も同じでした。そこから少し時間が経ってしまったので、今回もまた圧倒されていたようです。


しかし、このタイミングで勇気をもって一歩踏み出し、コミュニケーションをとることに挑戦すると、とても温かくむかえてくれます。我々日本人が英語に精通していなくとも「何かを伝えたいんだ」ということを感じ取ってくれ、親身に耳を傾けて我々の思いを理解しようとしてくれます。我々日本人はどこか「正しく伝えなくては」という気持ちが働き、正しい単語や正しい文法で伝えようと頭をフル回転させます。もちろんこのことも非常に重要ですが、対面でのコミュニケーションの場合、必ずしもそうである必要はないのではないかと感じます。

会話によるコミュニケーションは読み書きとは別物で、瞬発力と言いますか、距離感といいますか、独特の間が存在し、「伝えたい」という想いが表情や雰囲気にあらわれます。我々が海外の方とお話する時、いわゆる、片言の日本語で話をされても特に気にせず、理解して会話をするように、海外の方も、私たちの「伝えたい」という想いを汲み取って会話をしてくれます。

学生も現地の選手やスタッフ、コーチと話をする中で、これをしっかり感じており「結構通じました!」、「なんかわかってもらえました!」と嬉しそうに帰ってきます。その様子を遠くから眺めていると単語を一生懸命並べて、身振り手振りを加えて…、こんな会話です。本当に「なんとか伝わった」という表現が正しいかもしれません。ですが、この感覚が非常に重要で、これを覚えると臆せずに会話を切り出すことができるようになってきます。


競技会中、シンガポール陸連のスタッフに「競技の終わった早稲田の選手にインタビューしてもいいか?英語なんだけど大丈夫か?通訳でコーチも入るか?」と聞かれました。「上手に伝えられないかもしれないが、彼らにとって大きな成長のチャンスになるから、もしよければ通訳なしで、選手だけで撮ってくれ」とお願いをしました。

学生たちは最初は「え?インタビューですか?」と少々不安そうにしていましたが、慣れればなんてことはなく、仕舞には楽しんで答えていました。確かに、正確な答えができたのか、正しい表現ができたのかを問われれば難しいでしょう。しかし、しっかりと相手の目を見て、自分の言葉で受け答えしたそのことには大きな価値があると思います。そこには確かな交流が生まれ、新しい経験をした学生の輝いた目がありました。


そんなことを経て、学生たちは昨夏に続いての大きな経験と、新しい仲間を得ていました。これが海外遠征、海外の方と関わるチャンスを持つ者の大きなアドバンテージです。多少言語は違えど、「伝えたい」「理解したい」という想いは互いに持ち合わせています。それを言語の壁を怖がらずに乗り越えていくことが学生に求められているのではないでしょうか(ひょっとしたら学生に限った話ではないかもしれません)。そして、何かのタイミングで再会を果たすとその絆はより深まります。

今回の遠征で既存メンバーでのシンガポールとの交流は2度目となり、しっかりとその関係性を固めることができました。3度目、4度目、、を経てこの交友関係が長く続くことを祈ると共に、そのためのサポートに尽力したいと思います。また、それがこのきっかけを作ってくださった多くの方々への最低限の恩返しになるのではないかと思います。


大切なのは英語ができるか否かではなく、お互いを友として迎え入れることができるかだと思います。そして今回の遠征を通して、その歩みが確実に進められていると感じました。


これが、今回の遠征の目的である「国際交流」です。私事で恐縮ですが、私は海外在住の経験があり英語でのコミュニケーションに対して大きな恐怖心がありません。もちろん、完璧な英語は話せませんが、自分の知っている範囲の単語でやりくりし、多くの仲間ができました。それでも今回の遠征を通して、もっと心の温かさとか、奥深さとか、そういったものが重要だなと改めて感じました。

きっと参加学生も同じようなことを感じていると思います。グローバルリーダーを目指す早稲田人として、国際人としての視点、感覚を常に持ち続けていきたいと思います。


遠征は日本時間の22日(金)までとなります。私は別の遠征に参加するため、一足先にシンガポールを出国しております。残りの期間も現地で多くの交流が生まれることを楽しみに、学生諸君の無事の帰国を祈りたいと思います。

引き続き、皆さまの温かいご声援を宜しくお願い申し上げます。