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部員日記

岡本漠久:目隠しを取ったあの日

工藤から引き継ぎました。トレーナーブロック2年、岡本漠久です。


紹介にありましたが、工藤とは陸上の話をよくする仲です。同じ部活なんだから当たり前だろと思うかもしれません。しかし、他の人と違って、工藤とは本当に陸上の話しかしないのです。工藤の陸上競技に対する考え・姿勢には吸収できるものが豊富にあるような気がするため、陸上以外の話にあまり目が向かないのです。走行距離に対する意識・自分の疲労を知覚し対処する力・レースの分析・世界レベルの陸上の選手の分析、どれをとっても、一緒に探っていったら面白いものが見えてきそうで、ついつい話し込んでしまいます。

もちろん、友人としていろいろな話をできるような関係になるのもありですが、私はこの関係が心地いいです。「最後に笑える未来」をつかむよう、トレーナーとして手伝わせておくれ。

部員日記、受け取りました!!


今回は本題の前に、アナウンスをさせていただきます。

この度、10月5日に受験しました、NASM-CESの資格試験に合格することができました!身体の筋バランス、関節の可動域や骨の位置による機能不全を矯正するアプローチに関するこの資格、競走部の活動に生かさない手はないと考えております。

選手の成長を手助けするとともに、自分自身も成長できるよう、これからも精進してまいりますので、応援をよろしくお願いします。また、この資格を取得するのに支えてくださった皆様方にこの場をお借りして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。


さて、本題に戻りまして。今回の部員日記の題は「目隠しを取ったあの日」です。目隠しを長時間し続けていると普通の光でもまぶしく感じますよね。私もとてもまぶしく感じました。どうぞ、お楽しみください。


皆さんは、【努力の長期的盲目効果】を体感したことはありますか?

努力の長期的盲目効果とは、思想的・精神的なもので、【自分は努力している】という思想にとらわれ、周りが見えなくなることです。その人は自分が考える最大効率の努力を続け、エネルギーの限り活動し続けます。

まるでそれが悪いかのように話していますが、これ自体は悪いことではありません。盲目である事は見たくないもの・見なくてよいものなどを半強制的に見なくていいので、余計なエネルギーの消費をカットできます。私の知る優秀な選手たちも、冬季練習などの際は自分の限界を超えるためのブースト材としてそれをうまく用いているようです。


しかしそれは、時にこんなことにつながります。長期的盲目効果によって盲目依存症になることです。依存者たちは自分だけが考える努力のみを依存の限り見詰め続け、努力という目隠しで安心します。こうなってしまった人は、夢をつかむことの難易度が一気に上がります。それはちょうど、目隠しをして、指示もなしに勝利という「もの」をつかみ取ってくるのと同じだからです。高い目標である程遠く、低い目標であるほど近い。低い目標であれば手が届く可能性がありますが、高い目標ともなると、つかみ取るには天文学的確率を引き当てなければなりません。


しかし、その範囲を超えた夢が叶うパターンもあります。それは、盲目依存の本人が知覚できない範囲で、黒子が支えている場合です。この場合、世間一般から見ると依存者が結果を自力でつかみ取ったような素晴らしい結果に見えるでしょうし、周りが見えないため、自分でも自力で勝ち取ったと思い込みます。幸せを味わうことができるでしょう。しかし、その黒子がいなくなった瞬間、依存者はまた迷子です。自分の今いる場所も、方向も、手元すらわからない。目隠しを取ろうとしない限り、もう二度と彼が勝利することはない。そんな結果が待っています。


現状、私が所属している競走部には、盲目依存の人は発生しにくい環境が整えられています。先輩・後輩・同期と会話する機会、監督・コーチと会話する機会、自分で競技を見つめなおす機会、マネージャー・トレーナーと話す機会など、依存解消のきっかけが部活動の中にたくさんあります。しかし、その反面、自分の限界をストイックに押し上げ続け、自分を追い込むこむことをためらわないため、時にその依存の渦に飛び込んでいってしまう人がいることも確かです。私はそんな人をいち早く発見し、ともに良い方向に成長し、目隠しを外せるように、部員全員とコミュニケーションを重ね続けたいと思います。


自分が盲目依存であった状態から救ってくれたあの先輩のように。


明日の部員日記は、われらがトレーナーブロック長、白井琉歌さんにお願いしました。

私の競走部での念願の中に一つ、白井さんに部員日記を回すことがありました。それが明日、叶います。

白井さんは入部したての頃からお世話になっていて、この2年間、私が至らないばかりにかけてきた迷惑の数は数知れずです。どんな意見も、どんな言葉も受け止めて、暴走しやすい私を諭してくださいました。それに、私は白井さんに大きな恩があります。それはこの部員日記を読めば、わかるでしょう。そんな白井さんも、あと数か月で、競走部を去ります。これから、白井さんが「このブロックは大丈夫だ」と、安心して、笑顔で次のステージへ進めるように後輩の力を見せつけることで、返せないほどの恩に報いていきたいと考えています。卒部までには、一度でいいのでご飯を食べながらお話できる機会をください!

明日は、よろしくお願いします!!


最近寒いですね。季節の変わり目で体調を崩さぬよう、服装等で体温を調節し、お体にご自愛ください。それでは、失礼します。