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岡本漠久:ダァン!!
こんにちは、あるいはこんばんは。森田から引き継ぎました。トレーナーブロック2年、岡本漠久です。
森田を一言で表すのであれば、「努力の天才」です。そこまで言っちゃっていいの?と思われるかもしれませんが、こんなことを言われても奢ったり、慢心したりするような人間では絶対にないというのが一番の証明になるでしょう。感覚的なものと論理とのすり合わせ方、試行錯誤をし続ける姿勢、これだと思ったものにアクセルを踏む込める覚悟、強靭な体。どれをとっても彼は努力で身に着けてここまで走り続けてきました。紹介にもあった今年の春先のバイクトレーニングも、正直「かなりきつかったですが笑」ですませてることが信じられないくらいの高い強度設定にはしたはずだったのですが、、、恐ろしい男です。
と、競技面だけでもこんなすごい人ですが、私にとっては部内でも有数の仲がいい友です。互いの相談をしながら定期的にご飯にいきますし、これは良くないと私にはっきり言ってくれるのも彼です。また、周りからの信頼も厚く、森田がいれば大丈夫だという立ち位置を確立しつつあります。「憧れ」に、着実に近づいていってる証拠じゃないかな?森田の夢の果てに行くお手伝いを俺にさせておくれ。またうちで謎会開きます笑。
部員日記、受け取りました!!
さて、今回の部員日記の題は「ダァン!!」です。スポ魂漫画を読んでいると「いやいや。そうはならんやろ。」だとか、「いやー、体格的にこの出力は出ないだろ。」とか考えてしまって全く頭に入らないので読まなくなってしまっていたのですが、ここ最近は恋愛漫画のキャラクターがスポーツする描写でも同じような現象が起きます。私はもう、手遅れでしょうか。どうぞ、お楽しみください。
「唆るぜこれは!」「諦めないのがオレの魔法だ!!」「趣味でヒーローをやっている者だ。」
さて、この言葉たち、画面の前の少年漫画好きのあなたなら、脳内再生は余裕ではないでしょうか?
今回は前々回の私の部員日記、「ドンッ!!」の続編となる、スポーツ科学から考える少年漫画、「ダァン!!」です。
ある日、高校時代の友人から私に一通のLINEが届きました。「バクって、今筋トレのこととかを大学で学んでるんだったよね?」急な質問に戸惑いましたが、そうだよと返信したところ、成人式のために筋トレをしているが、なかなか効果が表れないからプログラムを組んでほしいとのこと。断る理由もないのでOKしました。そこで、今までどれぐらい運動をしていたかを確認すると、ムキムキになるために【ワンパンマンメニュー】を1か月ほどやっていたそう。
【ワンパンマンメニュー】とは、漫画「ワンパンマン」でどんな敵でもワンパンで倒してしまう主人公:サイタマがあこがれのヒーローになるために行っていたトレーニングメニューのことです。内容が以下の通り。
[腕立て伏せ100回 上体起こし(腹筋)100回 スクワット100回 ランニング10km 夏冬のエアコン使用を禁止 を毎日行う]
このメニューを1か月こなしていた忍耐は賞賛に値することだとは思います。ですが、一つ言えなかったことをここで言わせてください。
それ、フィクションだから。こんなメニューやってもしんどいだけだから。(この部員日記を読んでいたらごめん、言えなかったんだ。)
しんどいだけ、は言い過ぎですが、このメニューには欠陥があります。例えば、ランニングを筋トレと同タイミングに行うこと。筋トレでは傷つけた体を修復させるために、たんぱく質を合成します。しかし、近いタイミングで有酸素トレーニングを行ってしまうと、そのたんぱく質の合成を抑制するといわれています。よって、ランニングと筋トレは近いタイミングで行わない方が筋肉を育てられます。もう一つ、夏冬のエアコン使用の禁止です。純粋に健康管理上危ないこともそうですが、特に睡眠を行うときの問題があります。人間は睡眠をとって少しすると成長ホルモンというホルモンを活発に体内に分泌させ、筋肉を修復、強化します。しかし、「暑すぎて、寒すぎて」睡眠の質が下がると、成長ホルモンの分泌も低下します。これでは十分体が回復せず、次の日を迎えます。これでは回復しきる前にまたトレーニングを行わなくてはいけないため、体を壊しやすくなってしまいます。他にもたくさんありますが、ともかくこのトレーニングはリカバリーと修復・成長のバランスが取れていません。このトレーニングでは、サイタマ以外最強にはなれないでしょう。
では、他の少年漫画のトレーニングはどうなの?ということでぱっと思いつくのは、「鬼滅の刃」の柱稽古。黒幕:無惨を討伐するための力を養うため、主人公たちが所属する鬼殺隊が各流派の長たちである9人の「柱」に様々な種類の稽古をつけてもらうというものです。ある柱は基礎体力向上稽古、またある柱は筋肉強化稽古など、柱たちは各々の特色を生かした稽古を展開しているのですが、内容はとてもハードなものです。私は武道に対しては疎いので、あくまでもトレーニングの目線で気になった、2つの稽古についてフォーカスします。
一つ目が太刀筋矯正稽古。こちらの内容は、[多数の障害物がある稽古場で、障害物(縛られた人)を避けながら柱と組み手をする]というものでした。これは非常に良いスキルトレーニングだと私は感じます。良いポイントは、外的なフィードバックがすぐにもらえるということです。人間が何かスキルを身につけようとするときは発揮した運動のフィードバックをできるだけ早くキャッチして、内的な感覚とすり合わせる必要があります。その点で言うと、隊士に刀をぶつけてしまうと悲鳴や嗚咽などの外的フィードバックがすくさま発せられるため、外的フィードバックのスピードはどんなトレーニングより早いわけです。もう一つ良いポイントがあります。それは外的なフォーカスを行わなければならないトレーニングであるということです。スキルトレーニングは自分の中の筋肉を意識するより、外的な影響を意識する方が学習が速く、トレーニング効果も期待しやすいといわれています。なので、ただ障害物を置くより、人間が障害物になった方がよいのです。え?このトレーニングの悪い点と言えば?そうですね、、、人を人として扱っていないことぐらいですかね。
二つ目が地獄の柔軟。こちらの内容は、[筋力の強い柱に力技で関節や筋肉を無理矢理ほぐされる]というものです。これは分析するまでもなく、今すぐやめたほうがいい稽古です。まず、関節を無理やりほぐすというのは人体にとってあまり良いことではありません。柔軟性が低い理由は、柔軟性が低くなる原因が必ずあるのです。その原因に適切に対処するでもなく、力技で柔軟体操をさせようとすると、肉離れや、靭帯の炎症、ひどい場合には脱臼や骨折だって起こりえます。皆さんが柔軟体操をするときは、まずは何が原因で体が硬くなってしまっているのか、分析をしてからストレッチをしてみましょう。
さて、すこし前に完結した「僕のヒーローアカデミア」感動のラストでしたね、、!!以前の部員日記で個性(作中の超能力)についてのトレーニングについては触れましたが、あまりにも現実とはかけ離れているので、今回はもっと現実寄りの、第二話に出てきたトレーニングについて見ていきましょう。
主人公の緑谷出久は最高のヒーロー:オールマイトから個性:ワン・フォー・オールを受け取り、トップヒーロー育成校の雄英高校の実技試験(実際の戦闘を模した試験)に挑むこととなります。しかし、ワン・フォー・オールは最強の力を発揮する個性、使いこなすには器となる強靭な肉体が必要となります。そこで行ったトレーニングが、[砂浜に不法投棄されたゴミの山を10か月以内にきれいにする]というものでした。全身をまんべんなく鍛え、社会貢献にもなる素晴らしいトレーニングじゃないか。そう思う人もいるでしょう。
しかし、問題はトレーニングの最後にありました。出久がこのトレーニングを終えたのが試験当日の朝6時、そこから約4時間後にはもう実技試験なのです。おそらくですが、現実でこれをやったら、試験中は疲労で十分な力は発揮できないでしょう。人間が最高の実力を発揮するためには「ピーキング」という考え方が重要になります。ピーキングの方法は様々ですが、約2週間前から徐々に強度を上げ、量を減らし、回復に向けて食事や睡眠を徹底するという形がメジャーです。(競技特性次第ではありますが)ピーキングがうまく行けば、練習で蓄えた力を100%発揮できる確率が格段に高まります。出久も、トレーニング内容としては良いものですが、力を発揮する段階でピーキングを意識すればより良い結果を求めることができたのではないかと私は考えています。
いかがでしたでしょうか。前回の部員日記では学べることがたくさんあると記載しましたが、それと同様、完全再現は危ないものもたくさんあります。少年漫画の描く最強になるためには常軌を逸したトレーニングが必要なのは重々承知していますが、実際の人間はそうはいきません。アスリートたちはその点に注意しつつ、強靭な精神性を少年漫画で学ぶことをおすすめします。
しかし、こんなことを言っといてなんですが、最後に【これだけは間違いない】トレーニングのモットーを紹介して締めさせていただきましょう。
「よく動き よく学び よく遊び よく食べて よく休む 人生を面白おかしく張り切って過ごせ」【ドラゴンボール:亀仙流モットー】
明日の部員日記は短距離ブロック1年の鶴巻にお願いしました。
後輩に部員日記を回したことが無かったので、初めて回す人は慎重に選ぼうと思い立ったその瞬間、にこにこした鶴巻が目の前にいたので脊髄反射で回してしまいました。突然だったけど引き受けてくれてありがとうね!
鶴巻の走りを始めて見た時、「ああ、俺は陸上競技をまだまだ知らないんだな」と思わされるほどのきれいなフォームと加速度でした。もちろん、たくさん改善するところはあるのでしょうが、今まで見てきた選手の強みとはまた違った強みを彼は持っていると私は確信しています。人間性もばっちりで常に笑顔を絶やさず、(いつも何かいいことあったの?と何人かに聞かれているほどニコニコしているそうです。何もないらしいのですが。)先輩が引退する際には1年弱の付き合いにもかかわらず安心院と一緒に大泣きしていました。表情豊かで純粋な彼は、競走部の新たなOneピースとして、光輝く時のために現在冬季練習に打ち込んでいます。トレーニング・体のことに関しては何でも質問しておくれ。スクワットは厳しく見るので、そこは覚悟しておくように!明日はよろしくね!
ここ最近の暖かさと暴力的な寒さは私を含めたみなさまの免疫を破壊しに来ます。どうか、暖房、ヒーター、こたつを付けることをためらわずに、暖かくしてお過ごしください。それでは、長文をお読みいただきありがとうございました。失礼いたします。