最新ブログ

  1. HOME
  2. BLOG
  3. 田中美雪:魔法では敵わないもの
部員日記

田中美雪:魔法では敵わないもの

こんばんは。井上から引き継ぎましたマネージャーブロック4年の田中です。


選手の気持ちが分かると思ったことは4年間で一度もありません。これからもないと思います。井上が抱いていたであろう感情も分かりません。同情することは簡単にはできませんでした。ただその中で、その人が何を思い、何をしたく、何を目指して今ここにいるのか、今日も練習をしているのか、それを知ろうと努めてはきました。


とはいうものの、それは何に繋がるんだ。努力は結果となることではじめて努力といえる。結果にならないのであれば、それはまだ努力とはいえない。

まず、私にとっての結果とはなんだ?

選手が記録という数字、順位という数字を結果として目指すのであれば、私も数字を指標とすることが筋だと思いました。そうなると正確なタイムを取ること、ミスなくタイムを書き出し、伝えることが挙げられます。確かにそうだ。でも私はその数字を取るためにここに居るのか?他の結果、勝ちについて考えてみました。自分の1位のみが勝ちの形であればそれまでですが、誰かの勝ち、チームの勝ち、昨日の自分に対する勝ち、解釈次第で勝ちという結果はいくつか存在します。

でもそれは私がしていることに対する私の結果なのか?


目の前の選手が結果に対して貪欲であればあるほど、

そしてそれを知ろうとすればするほど、

益々自分の目指す先が分からなくなりました。


井上が東京世界陸上を目指していることは知っています。出て欲しいし、井上なら出れると思っています。

しかし、他人に期待される以上に、彼自身がそれを思い、それを叶える為に4年間の全てを懸けていると思うと、簡単に頑張れ、頑張ろうと、声を掛けることはできませんでした。ニコニコして、たわいもない会話をすることで精一杯でした。


自分が目指す先。着地したところは、自分のやるべきことを自分のためにやり続けることでした。

マネージャーとしてこの組織に置いていただいている限り、自分がやるべきことは、目の前のマネージャー業に尽力すること、目の前の選手と本気で向き合うことだと思っています。でもその前に、それをこの場所でやり続けることは、4年前にその選択をした自分を生かすということ。それこそが、自分のためにやるということ。矛盾するようですが、その自分を生かし、成長させること(すること)が、巡って組織のためになると信じ今日もグラウンドに行きました。


井上とは、立つ場所、目指す先、犠牲にするもの、全て違います。だとしても、自分が自分のやるべきことに注ぐ熱量とそれに対する執着心の強さ、この二つだけは肩を並べる同志でありたいと思い取り組んできましたし、同志であると思っています。


いつもありがとう。


明日は同じマネージャーブロックの後輩である富樫優にお願いしました。富樫をはじめとするマネージャーの後輩のことは絶対に守らなければならないと思うし、守るためにもっと自分が成長しなければならないと日々思います。逃げたいと思ったことは何十回もありますが優ちゃんがいる限りそんなことはできないし、起こらないようになっています。それは魔法ではなく、魔法よりも強い、人と人との間で生まれる力だなと感じます。自分が苦しいときに、人の苦しさに触れられる人はあまりいません。でも、彼女にはそれができます。そんなマネージャーと残りのシーズンを駆け抜けられることを誇りに全力で取り組みます。


最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは失礼いたします。