最新ブログ

  1. HOME
  2. BLOG
  3. 山口智規:見えないモノを見ようとして
部員日記

山口智規:見えないモノを見ようとして

こんにちは。

上島から引き継ぎました、駅伝主将の山口智規です。


上島はレースを走るたびに自己ベストを更新し、陸上を心から楽しんでいる様子が印象的です。そして、どこかで遭遇すると決まって「山口さーん、奢ってくださいよ〜」と、敬っているのかいないのか分からない絶妙な距離感で絡んでくる姿も、彼女らしさのひとつかもしれません。

練習では、誰よりも大きな声で仲間を鼓舞し、いつもチームの中心にいる存在です。そんな彼女のこれからの成長が本当に楽しみです。


久しぶりの部員日記となり、少々長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。


この冬、約2ヶ月間のオーストラリア遠征を経験させていただきました。たくさんの方々の支えがあって実現したこの挑戦では、Melbourne Track Clubでの練習や生活を通じて、本当に多くのことを学びました。


オーストラリアでのさまざまな出会いは、僕の人生において大きな財産になったと感じています。


なかでも、僕の1つ歳上のJude Thomasという選手との出会いです。彼と初めて会ったとき、持ちタイムは5000m13分33秒。同じレベルの選手だと思っていました。しかし今年、彼はセイコーGGPで3000mを制し、5000mでは13分09秒、1500mでも3分32秒台を記録し、世界陸上出場の現実味が一気に増しています。

そんな彼と、同じ空間で練習し、食事をし、日常を共にするなかで、「彼も自分と同じ人間なんだ」と、自然と感じられるようになりました。ありきたりな表現かもしれませんが、僕にとっては大きな気づきであり、心に残る経験でした。


そして何より、「日本人にもまだまだ可能性はある」と強く感じました。


MTCでの練習は、決して特別なことをしているわけではなく、日々の地道な積み重ねでした。環境や身体的な違いは確かにありますが、考え方や取り組み方次第で、世界との距離は確実に縮まる。タイムだけを見ると遠く感じるかもしれませんが、実際に現地で一緒に走り、「意外と近いのではないか」と思える感覚がありました。

もちろん、そんなに簡単な世界でないことも十分理解しています。それでも、挑戦する価値があると心から思える時間でした。


今シーズン前半は思うようにいかず、苦しい時間が続きました。それでも泥臭く走り続けた結果、日本選手権1500mでは準優勝。5000mでは竹澤さんが保持していた早稲田大学記録を更新することもできました。

ずっとぼんやりとしか見えていなかった世界陸上という舞台が、「もしかしたら届くかもしれない」と思えるところまで近づき、自分自身に少しだけ期待を抱く瞬間もありました。結果として掴み取ることはできませんでしたが、それでもこの期間が自分にとって非常に意味のある時間だったことは間違いありません。


僕の競技人生の原動力には、常に「悔」がありました。

決めきれなかった現実と向き合い、駅伝で勝ちたいという気持ちが今の自分を突き動かしています。


「箱根から世界へ」という言葉には、さまざまな意見があります。

トラックと箱根は共存できないのか、それとも別々のものとして両立すべきなのか、きっと正解はありません。


ただ、僕は“融合”を目指していきたい。

欲張りかもしれませんが、それこそが早稲田で競技をする意味だと考えています。

その姿勢を、結果と行動で示していけるように、これからも走り続けます。


なによりも、1500mから箱根駅伝まで諦めずに挑み続ける姿勢を通して、これから箱根駅伝を目指す選手たちの希望となれれば嬉しいです。


明日は、短距離ブロック4年の清水友彬にお願いしました。

この4年間、彼自身が納得のいく結果を残すことはできなかったかもしれませんが、ひたむきに競技と向き合い続けていました。

そして意外なことに、彼の夢は地元でカフェを開くことだそうです。

彼が淹れるコーヒーや作るケーキ……まったく想像がつきませんが、ぜひ行ってみたいので、その夢は必ず叶えてください。友彬と仲良くなれてよかった!

明日はよろしくお願いします。


拙い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、失礼します。