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石原慎也:もう1回いけ

こんばんは。
寺澤から引き継ぎました、短距離ブロック4年の石原慎也と申します。
最後の部員日記、寺澤の紹介を書くことができて嬉しいです。回してくれてありがとう。
私の陸上人生は寺澤なしでは語ることができません。実に競技生活10年間のうち7年間を彼と同じチームで過ごしました。さらに言えば、同じチームではなかった中学時代も近畿中学総体100mで3連覇していた彼は同学年のスターとして私の記憶の中に鮮烈に残っていました。そんなスターと高校・大学と7年間も同じチームで陸上競技を続けるなんて当時の自分は夢にも思いませんでした。そして、高校のインターハイ路線や昨年の東京六大学では彼とマイルリレーでバトンを繋ぐことができ、その瞬間は非常に感慨深かったです。
小学生から第一線で活躍し、全国的にも名の知れた寺澤に寄せられていた期待は私の想像を遥かに超えるものだったと思います。想像を絶するようなプレッシャーの中で競技を続け、結果を残し続ける彼の姿からは、ただならぬ覚悟や執念がひしひし伝わってきました。中学・高校と圧倒的な存在だった寺澤にとって、大学での競技生活は必ずしも思い通りではなかったかもしれません。しかし、どんな状況でも競技と向き合い続けるその背中は私にとって常に憧れであり、尊敬する存在であったことに変わりありません。
そんな寺澤と共に試合に出場できるのも次の早慶戦が最後です。お互いに最高の走りを披露し、試合後は笑顔でツーショットを撮りたいと思います。(サムネイルの写真は高校の卒業式の日のものです。若いですね…)
引退後はそれぞれ別の道に進みますが、もし叶うなら彼ともう一度走る機会があれば面白いだろうと思います。そして定期的に顔を合わせ、昔話に花を咲かせたいです。基本ツンデレの寺澤はいつも照れ隠しで私に強く当たってきますが、引退すれば本音ベースで語り合いたいですね。(笑)
引退が刻一刻と迫ってきています。前回部員日記を書いた時からそれほど時間は経っていませんが、改めて心境を綴りたいと思います。
中学1年生で陸上競技を始め、今年で10年の節目を迎えます。振り返れば、「あのときこうしていれば」、「もしあのときこうなっていれば」と悔いが残ることは山ほどあります。怪我がなければ、コンディションがもっとよければ、など様々な思いが巡ります。「運も実力のうち」と言われるように、結果として実力不足だったという一言で片付けることができるかもしれませんが、それでも後悔の念が募るばかりです。
速く走る楽しさを知った中学時代。ケガに苦しめられた高校時代。そして迎えた大学陸上。次こそは自分が主役になりたい、という野望を持って競走部の門を叩きましたが、結果は思い描いた夢とは程遠いものでした。入部以来、100本近いレースを走ってきましたが、ゴール後に「いい走りができた」「楽しかった」と感じたレースは10本にも満たないでしょう。その中でも会心のレースと呼べるのは47秒30を出したあの1本だけで、思い通りに走れないことの方が圧倒的に多く、苦しい時間の連続でした。
それでも、競走部でしかできなかったことをたくさん経験させていただきました。高校時代から大きく自己記録を更新できたこと。グランプリへの出場を通して日本トップクラスの選手と競い合う機会があったこと。そして何よりも、結果が伴わずチームにはご迷惑をおかけしましたが、幼い頃からの憧れだった臙脂のユニフォームに袖を通して対校戦に出場させていただけたこと。これら全てが私にとって誇りですし、継続して頑張ってきてよかったと思えた瞬間でした。
以上より、競走部で活動した4年間はかけがえのない時間だったと確信しています。日本トップレベルの環境でチームメイトと切磋琢磨し、成長できる練習環境。互いにコミュニケーションをとりながら励まし合える仲間。優秀で献身的にサポートしてくださる学生スタッフの皆さん。1人1人の潜在能力を引き出そうと日々尽力くださるコーチの方々。ご支援いただいているOBOGの方々。本当に多くの方々のおかげで、この4年間で競技力も人間力も大きく成長し、充実した毎日を過ごすことができました。文字だけでは伝えきれないほどの感謝の気持ちでいっぱいですが、この場をお借りして心からの御礼を申し上げます。
そして最後に私の挑戦を遠くから見守り、支えてくれた両親へ、本当にありがとう。
(下の写真は、昨年の関東インカレを観に来てくれた父が撮ったものです。父の前ではことごとくひどい走りしかできず申し訳なかったですが、親子の夢であった、臙脂のユニフォーム、それを着た姿を見せられてよかったです)
多くの同期が早慶戦で引退を迎える中、私は8月末まで試合に出場し続けることにしました。陸上を最後までやり切りたいという強い思いがあり、これが最後の足掻きです。自己記録を更新し、笑顔で引退できるよう、最後まで見守っていただければ幸いです。
※タイトルは、いつもお世話になっている田村コーチが練習中によくかけてくださるお言葉です。大学陸上ラスト1ヶ月、もう1回力を振り絞ります。
明日は、トレーナーブロックの川上恵麻にお願いしました。
恵麻は、私たち選手にとって本当に欠かすことのできない存在です。トレーナーとしての豊富な知識と確かな技術を持ちながら、それ以上に人としての温かさやユーモア、頼もしさを兼ね備えていて、チームの誰からも厚い信頼が寄せられています。私自身、何かあった時には、真っ先に「恵麻に相談しよう」と思えるほど、全幅の信頼を置いています。
身体のコンディションが思わしくないときはもちろん、試合や練習で思うような走りができず気持ちが沈んでいるとき、真夏の猛暑で意識が朦朧としかけた時、過酷な練習で吐きそうになったとき……そんなあらゆる場面で、彼女は的確なアドバイスと、心に染みる言葉をくれました。彼女の言葉に何度も救われ、どれだけの難局乗り越えられたかわかりません。
そして、彼女の魅力はグラウンドの中だけでは留まりません。練習後には食事に行き、日々の些細な愚痴を言い合ったり、他愛のない話で盛り上がったりするような間柄でもあります。話し上手で、聞き上手。何気のないやり取りの中でも、ふとした言葉に元気をもらえたり、自分らしさを取り戻せたりするのです。そんな不思議な安心感も兼ね備えています。
献身的なサポートと、どんな時も寄り添ってくれる優しさ、そして飾らない明るさ。そんな恵麻のことを、心から尊敬しています。彼女とともに活動できる時間も限られてきましたが、残された日々を時間大切に過ごしたいと思います。そして、これまでの感謝をできる限り伝えたい。できれば最後に結果という形で良い報告を届けたいと思っています。待っていてください。
最後までお読みくださりありがとうございました。
競技生活としてはもうすぐ一区切りですが、私は陸上大好き人間です。それゆえ来年以降も趣味として全国どこかの競技場に頻繁に足を運ぶことでしょう。選手としてか観客としてかは未定ですが。もしどこかでお会いしたら声をかけてくだされば幸いです。
末筆ではございますが、競走部には対校戦で活躍している選手だけではなく、苦しみながらも懸命に自己記録を目指す多くの部員が存在します。彼ら一人ひとりの努力と挑戦にも温かい眼差しを向け、応援していただけますと幸いです。
それでは失礼します。